昨年受講を逃した科目の補講で、川西市・黒川地区の茶道文化を支える菊炭(=池田炭)生産、菊炭生産を支えるクヌギの山の里山保全活動の状況を視察しましたので、以下レポ-ト致します。
1.黒川地区は猪名川上流地域にある「日本一の里山」と言われています。里山は人の手が入って、輪伐(ほぼ8年サイクルでクヌギを皆伐する)することにより、山の景観がパッチワーク状に見えますが、それが里山である証です。人が手を入れて、山を健全に保全しながら、人間の為に持続的に活用できている山は今では日本で珍しいと言われています。だからこそ「日本一の里山」と言われるのです。
黒川地区 分かりにくいが林相の違いがある。(クヌギと普通の杉林)
2.しかし、このクヌギの日本一の里山を守ろうとしているのは、ほとんどがボランティア団体の活動であり、黒川地区の「超少子高齢化」で、もはや「限界集落」化した村の人々ではありません。
3.おおよそ800年続いている「台場クヌギ」と言われる特徴のある「炭材」生産方法の
「文化性」、パッチワーク状の里山景観である「景観性」、そして平安時代から続く「歴史性」を守るために、地域起こし地域活性化につながる里山保全活動がなされている。
4.「台場クヌギ」から見てみよう。以下の写真のように大径木のクヌギを地上から1m位の高さで切る。8年ほどすると萌芽した径7-8cm程の枝が菊炭の「炭材」となる。(因みに伐採した大径木のクヌギは炭材には使用されず、薪として使用されたり、売られる)
台場クヌギ 萌芽してから5-6年のもの
昔の炭焼き窯
菊炭 (失敗作らしく一個100円で売っていた)
5. 菊炭生産は現在、黒川では1軒「今西 勝」氏のみ。毎年11月ごろよりクヌギを伐採して焼きはじめ、翌年4月ごろまで焼く。一回にかかる時間は窯に入れ焼くのに5日間、冷ますのに4~5日間 計9~10日間かかる。一回の窯入れはクヌギで約4,000kgs, 出来上がりの炭は約800kgs( 約1/5 となる)
クヌギ材は10カ所の山を確保している。つまりクヌギが萌芽して次の炭材となる8~10年で一巡出来るようにしている。但し、クヌギ山の手入れが進んでおらず、この10カ所のクヌギ山の確保もこの先どうなるかわからないとのこと。
ここでもクヌギ林保存の人手不足、つまり材手当の不安があり、危機感をもっていた。
6. 今西氏の炭焼き窯
幅3.5m, 奥行4m( 約6畳間と同じ) まるで明日香村の「石舞台」のようだ。
土で何回も固めて積み上げてあり、その他の資材は一切使用していないという。
黒川で唯一「菊炭」焼き守っている
「今西 勝」氏
以上 黒川 菊炭および里山保全のレポートでした。
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