9/28(土)セミナー 『森の土の不思議な世界』

 森林総合研究所 関西支所 森林環境研究グループ主任研究員 溝口岳男先生をお迎えしました。

午前中は14名の小人数で先生を取り囲むように、講座を聞きました。

「農地は肥料を与えたり耕したりするが、山に肥料を与えたり耕したりはしない。」ということから始まり、山の森林を形成している土が失われると再生がいかに困難か足尾銅山、御嶽崩れを例に挙げられました。

目には見えない所の様子を知るには土を掘るしかなくその手順をお話されて土木工事のようでした。

目に見えてきた土の中は普段見えている所と同じようにいろいろな生き物が住み、沢山の微生物がいることを知りました。これらの者達の働きで土に肥料がもたらせ、耕されて、植物が育つことができる土壌になります。お話の中で日本の土壌は炭素を沢山貯めている優秀な土壌であること。そして「様々な生き物が住める豊かな土壌。様々な生物が住んでいるからこそ豊かな土壌も作り上げられていく」と午前の講座で学びました。

 

昼食を終えて午後からは実際に【創造の森】へ入って土の中を観察しました。

ご神木のアベマキを囲むように(フェアリーリンクといいます)シロオニタケが生えていました。先生が1本のシロオニタケの根本を大きく掘って土から取り出されました。びっしりと細い根がついたところに白い菌糸が絡み付いていました。

 

また杉林の土壌と尾根に近い土壌を掘って比べました。

杉林ではA層といわれる養分が多い層は15㎝ほどあったのが尾根では約2~3㎝しかありませんでした。

この薄いA層の所に根が集中していることになります。

 

赤茶色の石がある沢ではこの色は鉄の色であることが解りました。土を掘ると青い色の土が出てきました。「グライ土壌」といい酸素不足で3価鉄が2価鉄になった色だそうです。

土壌の色は鉄の色で変わるとのことです。

 

このように目には見えない所の不思議な世界を少し見ることができ、また土を掘ってみたくなりました。